ゴヤの連作「黒い絵」

ゴヤについて、正直そんなに詳しいわけではないが、黒い絵の「わが子を喰らうサトゥルヌス」がとても好きだ。
http://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/7/77/Saturno_devorando_a_sus_hijos.jpg
できたら引き延ばしてダイニングに飾っておきたいくらい好きだ。
姿見の隣に貼って置けば、毎日自分の狂気の程度が確認できて、安心できるんじゃないかと考えている。「わが子を喰らうサトゥルヌス」を見ているとなんだかとても心が落ち着く。
サトゥルヌスの瞳にうかんでいるのは、自分が何かとんでもないことをしてしまっているという予感(本人はすでに自分が何をしているかわからないため)、恐怖と不可分の恍惚だ。
サトゥルヌスの黒く塗りつぶされた股間には、勃起した性器が描かれていたということだが、禁じられたことや非日常的な暴力にはどこかしら人を恍惚とさせるところがあることはまちがいない。
禁じられたことに恍惚とし、自分に怖れおののいているサトゥルヌス。サトゥルヌスは人ではないが、この人もほんとは怖いんだなという普通の反応が、とても安心させてくれる。