週末のアキバ シャツキステ

毎日通っている山手線。
でも週末のアキバは、とても楽しい場所です。
男の子の好きなありとあらゆるものが、子ども時代の思い出からアダルトな欲望を満たすためのものも、すべてがある。
最近は、UDXができたり筑波エクスプレスが通ったりして、オタクだけではなくて、ビジネスな目的にも開放され始めている。

今日はUDXにはじめて入った。といっても4階のアニメセンターに「トップをねらえ」を見に行くため。
2階の広場ではいくしまひろしがなんだか司会をしていて、ちょっとシャブイ感じの人たちとトークをしていたが、人は集まっていなかったみたい。
3Dシアターはとても贅沢な造りで、お客さんもまばらだし、あと1年持つかどうかとても心配になる。
映画のほうは、3時間超の爆発につぐ爆発で、もうしばらくアニメはいらないなと思う。
オリジナル「トップをねらえ」がいかに岡本喜八へのオマージュにみちているかを再確認。
それがいいとか悪いとかの問題ではなくて、「トップをねらえ2」では、オリジナルに比べてどんどん戦闘が概念的で内向的になっていくように感じたが、なぜだろう?


帰りにずっと行きたいと思っていた「シャツキステ」へ。

シャッツキステ
http://schatz-kiste.net/index.php

最高。
アキバのメイドカフェには7-8軒しか行ったことがないから、絶対とは断言できないが、個人的には心からどうしても行きたいと思える場所にようやく出会えた感じがする。たぶん、もうほかのメイドカフェには行かないだろう。
なんと表現したらいいのかわからないが、ほんとうに屋根裏のようで、とても落ち着けた。人によるだろうが、禁煙なのもよかった(どうかずっと禁煙を続けてください)。
床は古木が敷き詰めてあって、窓際には、ベランダへ出るための踏み台までが作られている。メイドさんが洗濯物を干したり、植物に水をあげている姿が想像できるかのようだ。
壁は古レンガと白い漆喰で塗りこめられていて、柱や調度品の一つ一つがきちんとアンティークしている。色彩が白を基調としたブラウン系のチャコールグレーでまとめられていて、アキバの極彩色のなかではとても安らぎを感じさせる。

よく探してみたら、屋根裏部屋を製作するメイドさんの日誌まであった。
http://schatz-kiste.net/pre_open.php

たまたまクロゼットのような個室を使わせてもらったのだが、ボードゲームが積んであったり、不揃いの色鉛筆や雑誌が雑然と置かれていて、演出では作り出せないだろう生活感が生まれていて、とても感動した。ウェス・アンダーソン監督の「ロイヤルテネンバウム」で、テネンバウムと長男のチャスがボードゲームのたくさん詰まったクロゼットで言い争うというシーンがあるが、こんな感じかなと思う。
トイレの扉が開けづらかったり、とても清潔だったり、鍵の呪力?とか、記号的な遊びがあったり、どれも楽しめた。
そして、何よりもメイドさんがすばらしい。
もう、人生やり直して、このメイドさんたちと恋に落ちることができたら、どんなに楽しいだろう、そんな気分にさせてくれる。
シャツキステのメイドさんが無事にすごせるのなら、アキバに来る人たちも捨てたものじゃないというか、ちょっと心配になるくらいやわらかい感じのメイドさんたちだった。
温度差で曇った窓に指で絵を描いたりして遊んでいた。
そういうのってとても大切だと思うけど、フツーの企業とかではほぼやらせないだろうし、大人になると家でそういう遊びをする人も少ないのではないか?
そういう遊びをしているメイドさんがいて、その空間を共有させてもらえるのは、とても贅沢な体験だなーと思った。

この日本では、歴史はたぶんもう終わってしまっている。
アレキサンドル・コジェーヴが二十年以上前に発見したように。
ただ様式だけが残って、人々は嬉々として自由を求めない。様式の中に喜びを充足させる。
いままではそれがピンとはこなかったけど、今日シャツキステに行って、歴史の終末を過ぎても、シャツキステのメイドさんと同じ時をすごせるならそれでいいかなと思ってしまった。
シャツキステ恐るべし。
帰りに、ククイさんが会計をまちがえた。もしかして時計を読むのが苦手?
シャツキステ恐るべし。また行かねば。