スキャナー・ダークリーを見て以来

最近、ブログの更新を怠っている。
17日にスキャナー・ダークリーを見て以来、体調がすぐれず帰ったらすぐに寝る日々だったからだ。風邪の一番の薬は寝ることだと思う。

スキャナー・ダークリーは、原作のP・K・ディックファンにとっては必見の映画だ。たぶんブレードランナーよりも、マイノリティーレポートよりも、はるかに忠実に原作の意図を読み取って映像化している。
リンクレーター監督のディックへの思い入れを感じられる映画だった。

原作にド忠実なので、原作のテーマが好きではない人、ジャンキーのダラダラした日常には何の興味もない人にはオススメできない。
リンクレーターは、原作に忠実でありつつ、現代的な監視社会という要素も取り入れているから、監視社会への関心で見ることもできなくはないが、スキャナー・ダークリーのメインテーマは、やさしさを抱えてしまった社会の底辺に生きるジャンキーと、他人から搾取することに何のためらいもおぼえない社会の勝ち組という身もふたもない構造(現実の砂漠ってやつですね)と、やさしさを抱えて生きることの困難にあるので、そういうものに興味がないとつまらないと思う。
その意味で、いまもっとも反時代的な映画化もしれない。
ヒルズで上映されることはないだろうが、勝ち組の人がみたら後味がわるいのではないだろうか。

スキャナー・ダークリーについては、まだうまく消化できていないので、近いうちにもう一度書くことになるだろう。