「スノウ・クラッシュ」は、71のエピソードで構成されている。

ヒロ・プロタゴニストというフリーのハッカーにして世界最強の剣士とY・Tというスケートボードを自在に駆る配達人が出会うところから物語が始まる。
ヒロは現実では貧しいフリーターにすぎないが、仮想世界メタヴァースでは凄腕のハッカーとして名前を知られている。
メタヴァースを作り、上場して大金持ちになった友人Da5idが正体不明のウイルス、スノウ・クラッシュに感染して意識不明の重体に陥り、このウイルスの正体を探る冒険に乗り出す。
このウイルスの背景には、世界中の光ケーブルを支配するメディア王ボブ・L・ライフの陰謀、ギルガメッシュ叙事詩に書かれた呪術的な力を用いて、現実とメタヴァース両方を支配しようとするライフの巨大な陰謀を阻止するため、ヒロはY・Tと協力して立ち向かう…
ストーリーはそんなような話だと思う。
いつも黒ずくめでひかえめだがうちに激しい情熱を秘めたヒロの昔の彼女ジャニータ、ロシアの少数民族の出身で、核実験で故郷を奪われた巨漢の鯨漁師レイヴン、大戦を生き延び、老いてなお鋭いマフィアのボスアンクル・エンゾ、ほかにも魅力的なキャラクターが登場する。
ストーリーのポイントは、主人公はヒロではなくY・Tだということではないか。ヒロははじめから最後までほとんど変化しない。Y・Tは大きく成長する(この成長する少女と支えるハッカー男性というモチーフはダイヤモンド・エイジでも継承されている)。
続きは、また次回に。次回は小説に書かれたメタヴァース以外のテクノロジーについても具体的に見てみたい。