まとめ

「とはいえ、面白いことというのは、すべてが同じ状態の中心部でなく、つねに変化する周縁部分で起こるものだ。」
スノウ・クラッシュ」は、コンピューター用語に少し免疫のある人なら誰でも楽しめるとってもエンターテイメントなお話です。
ちょっとマンガちっくなところもありますが、まだの方はぜひ。
情報がウイルスとして感染していくスリリングな本編と、マフィアのフランチャイズや人種差別容認派などの政治的な遠景がとてもよいバランスで配置されています。
セカンド・ライフ的なものを創造したことよりも、誰がそこにログインできるのかを計算し、そしてその空間が企業の広告に埋め尽くされていくであろうことを正しく予見したことが、ニール・スティーヴンスンという作家の質を示しているように思います。
「クリプトノミコン」も「ダイヤモンド・エイジ」も、スノウクラッシュを面白いと感じられたら、読んでみてください。

クリプトノミコン〈1〉チューリング (ハヤカワ文庫SF)

クリプトノミコン〈1〉チューリング (ハヤカワ文庫SF)

余談ですが、先日発売されたリチャード・モーガンの「ブロークン・エンジェル」、「オルタード・カーボン」はしびれたので、すごく期待を込めて読みました。
個人的には、前作のほうがよかったように思います。たぶん、前作のほうが世界がより緻密に書かれていたからでしょう。今回はアクションの比重が大きかったような…。同じ異星人の宇宙船ものでは、アリステア・レナルズの「カズム・シティ」のほうが、圧倒的におもしろかったです。
また、ようやくギブスンの「パターン・レコグニション」を読み終わりました。ギブスンはほんとうに読みにくい。
でも、学習障害とか、記号アレルギーとか、SFをどこに見るかという意味で、ギブスンはさすがにちがうなと。
その話は、後日また。