育児休暇のちがいから考えてみた

http://anond.hatelabo.jp/20080107003213#tb
はてブで注目のポストは毎日見るのだけど、たまたま関心が近そうな人の日記だったので、自分でも少しだけ調べてみた。
公務員の出生率と民間企業で働く人の出生率がどれくらい違うかという部分だけだけど。
ちょっとググった範囲ではよくわからない。
なので、育児休暇の取得率から考えてみることにした。
たぶん人口推計動態とか、人事院のリリースをよく探せばわかると思うから、誰か正しいデータを教えてください。ここで書くのはほんのちょっとググっただけの根拠のないものなのであしからず。

公務員(一般職)の育児休暇の取得については、人事院が資料を出している。
人事院<記者発表資料>
http://www.jinji.go.jp/kisya/0609/ikuji.htm
これによると、平成17年度中に育児休業が取得可能となった職員数は18,390人(男性13,308人、女性5,082人)で、このうち新たに育児休業を取得した職員は、4,825人(男性130人、女性4,695人)、育児休業の取得状況は男性1.0%、女性92.4%ということらしい。
ここでいう「取得可能」というのは、男性は平成17年度中に奥さんが出産した人(夫婦別姓とか公務員ではなしなのだろうか?)、女性は平成17年2月から平成18年2月に出産した人ということらしい。
ちなみに、この公務員(一般職)っていうのは、非現業国家公務員(なんじゃそりゃだけど、これがいわゆる公務員らしい)、検察官、現業職員、独立行政法人職員等(この「等」に郵政公社の人26万人が含まれているので、来年はかわるだろうね)の職種で、全公務員約398万人の内、国家公務員93万人の約67%(電卓たたいちゃった)を占める63万人くらいの人のことらしい。これもやっぱり人事院の就職情報サイトから。
国家公務員って何?
http://www.jinji.go.jp/saiyo/kokkakomuin.htm
トヨタ自動車の連結従業員数でも30万人だから、63万人の職場っていうのは想像もできない規模だけど、その内の1万8千世帯、2.8%(両方公務員ってダブルインカムな人もいるはずだけど、おいておいて)のご家庭にお子さんが生まれているらしい。平成13年の5千7百人をピークに、平成15年以降は4千人台後半で育児休暇を取得しているので、毎年1万5千〜2万世帯でお子さんが生まれていると思われる。
おめでたい話です。ぜんぶ税金だけどね。
注目したのは、育児休業の取得期間。
平均が12ヶ月で、最多が「9ヶ月長12ヶ月未満」で36.7%の1770人(また電卓たたいちゃった)。約70%が9ヶ月以上取得をしていて、最長3年とれるから、24ヶ月超の人も381人(7.9%)もいる。
この数字が悪いって話ではなくて、公務員が1−3年の育休がとれるなら、民間企業も同じ水準になるように保証制度を整えるべきじゃないのというのが正直な感想。
というのも、労働政策研究所(もうすぐ潰れそう)が行った調査によると、民間企業での取得期間は、最多が「10−12ヶ月」の24.3%だけど、10ヶ月以下の人が約52%くらいいるらしい。
独立行政法人 労働政策研究・研修機構/統計情報:動向調査:育児や介護と仕事の両立に関する調査
http://www.jil.go.jp/kokunai/statistics/doko/h1507/index.html
人事院の統計とちがって、平成15年の調査だし、従業員数のサンプリング比率がわからないけれど、日本企業の99%(たしか総務省の統計ではそれくらいの比率だったはず)を占める中小企業の実態として、5割の人が10ヶ月以下の育児休暇で、公務員の7割が9ヶ月以上って、どういうことだよ?!なんじゃないかと思う。
税金を払ってる側の育児休暇が短いのは間違いないのだから、何かがおかしいのは間違いないと思う。
ちなみに、同調査によると、非正規雇用では13.8%しか育児休暇が取得できないらしい(母数が2781社だから当てにならない数字かな)。この数字は、雇用期間が決められている派遣労働者を含みません。
ぜんぜんおもしろくもない話ですが、派遣労働者育児休業を取得するのはさらに困難なようです。
FAQ:qa3140 派遣労働者にも産休や育児休業の権利はありますか?
http://www.asahi-net.or.jp/~RB1S-WKT/qa3140.htm
平成18年度の派遣労働者数は昨年末に発表があって、対前年で26%増の321万人に達したそうです。
厚生労働省:新着情報
http://www.mhlw.go.jp/new-info/index.html
06年の出生数の合計は109万2662人で、出生率は1.32でした。07年の出生率はこれから発表になるでしょう。
計画的に出産をする場合、自分の職場で育児休暇が取得できるかどうかが、(とくに働く女性にとって)絶対条件だと思います。だから、合理的に正しい選択としては、出産を予定している女性は、決して派遣労働者ではなく公務員になるべきだということです。
正しい選択だけど、選択肢を提供している社会はあきらかにおかしい、そんな感じかなと。
調べてみると、それなりにいろんなことがわかるけど、おかしいのは社会で、かつそれを支えている国家(公務員)だから、どうすることもできないね、そんな結論だとむなしいわけですが…。